No.93 車を降りて歩く町
最近の伊勢の町の渋滞具合といったらどうでしょうか。
にわかに大型のバスが増え、土、日、祝日ともなれば内宮周辺はおろか、今までガランとしていた外宮周辺も身動きできないほどです。地元民としては、もうこういう時は車じゃなくて自転車で出動！いやいや、本当に、皆さん、車は便利だけど大変ですよ。とにかく、車は駐車場が必要ですからね。パーク＆バスライドの日なんか伊勢西インターから降りられなくて強制的に７キロ離れた朝熊のサンアリーナまで降りることができません。「おーい！どこへ連れてくんや～！」ってなります。はい。思うように目的地に行けないわ、却って時間かかるわで当然、乗っている方々のイライラも最高潮に。せっかくの旅も台無し。ということにもなりかねません。
伊勢市も観光協会も「公共交通機関で」と呼びかけております。
らくらく伊勢もうで
こんなに町中混んでいるなら河崎もさぞや…。と、思いきや。
はい、河崎はですね、すごく静かですよ。いつもとおんなじです。
アスファルトに埋もれてますが、昔馬を繋いでいた「馬繋ぎ石」。
住民とほんの少しの観光客の方がちらほら。なので、ゆっくりしていただけます。そもそも河崎という町は車の町ではありません。第一駐車場がありません。みなさん、よくよく覚えておいてください。えーとね、ないことはないけど、「基本的にない」なので、河崎に車でいらっしゃるときは駐車場を調べて来て欲しいのです。そんで、乗り合わせて来ていただければいいけど、何台もで来られるとホント無理です。 店の前に駐車場がなくて歩くなんて普通です。河崎商人館にはわりと大きな駐車スペースがあるのですが、そこは河崎の一番端っこなので、モナリザまで歩こうと思うと15分くらいはかかってしまいます。また、河崎のメインストリートでもある本通りは「一方通行」です。なので、通り過ぎてしまうと戻って来れないです。本当に戻って来れないお客さん、多いです。
そして時々お客さんに怒られます。
「道が狭い！」
「一方通行だ！」
「駐車場がない！」
ええ、ええ、本当にすみません。でもね、河崎って観光地じゃないんですよ。普通に人が暮らしている町です。例えばよその土地の坂の多い町へ行って「坂が多いじゃないか！」とか、海辺の町へ行って「磯臭い！」とか、山奥に行って「山しかない！」って怒ったりしないですよね。たまに離島へ行って「何にもない！」って怒る人もいるそうですが…。
河崎は車の通れないような細い道も沢山あるし、大きな車は通りにくいし、そもそも昔は車がなかったから車用に作られてないのは当たり前なんです。
実は、私のやっているモナリザは河崎の中でも珍しく、店の前に駐車場がありました。でも、この秋からその駐車場を廃止して、近隣の駐車場を使っています。前に駐車場があると便利なのは確か。でも、最近はかなり大きい車で見える方も多く、店の前に止めるとお店が見えなくなっちゃったりするのです。河崎の古い町並みが、車のせいでそれが台無しになってしまいます。よく、雑誌の取材がある時、駐車場に車が止まっていると
「あの車どけてもらえますか？」
車が止まってないと建物も見えてキレイです。
と、言われることからも、いかに車が景観とマッチしないかが分かります。 そこで、色々考えた末、駐車場をヤメにしました。お客さんによっては面倒に思われるでしょうが、快く受け止めていただける場合もあります。現代の風潮に逆行しているとは思いますが、だからこそ、そんな場所があってもいいんじゃないでしょうか。
そんな風に河崎を楽しんでいただければ幸いと思っています。
